備中松山城その奥へ
松山城へは何度か登って、城主のさんじゅーろーをなでなでしましたが、その奥へと足を進めたことはありませんでした。
臥牛山から大松山城趾を経て展望台への道は、県南の森とは少し様相が異なり、時間を経た古い森の印象です。巨大なアベマキにびっくりしたり、野生の猿なのかなと少し不安になる鳴き声など、自然のままに存在してきた空気を感じます。
4人のカメラマンが綴る個性ある思い
備中松山城その奥へ
松山城へは何度か登って、城主のさんじゅーろーをなでなでしましたが、その奥へと足を進めたことはありませんでした。
臥牛山から大松山城趾を経て展望台への道は、県南の森とは少し様相が異なり、時間を経た古い森の印象です。巨大なアベマキにびっくりしたり、野生の猿なのかなと少し不安になる鳴き声など、自然のままに存在してきた空気を感じます。
今日は山より色彩がメインの「まきばの館」です。様々なハーブが個性豊かな形と色彩で咲きほこり、軽い散歩を楽しめました。
同時にRF100-400mmではどの程度アップの撮影が出来るかチェックです。トンボの大きさがあれば問題ないのですが、さすがにミツバチは小さすぎました。
健康のために始めた山歩きで撮影した写真を掲載しました。
初回は最近伺った「岡山自然保護センター」です。名前は知っていても実際に足を運んだことがなく、簡単な柵の向こうではタンチョウが卵を抱いていました。外周を1周すれば3時間以上楽しめます。
日本一小さな八丁トンボも沢山いて、ウグイスは元気よく、他の鳥の声も絶えません。昆虫や草花が自然のままに時を紡いでいるようでした。
昨年秋に知人の宝飾デザイナーである堀川晴子さんより依頼を受け、特別なリングを撮影しました。
堀川さんの作品はとてもオリジナリティー高く、素晴らしいデザインと何時も感動を頂いています。このリングは堀川さんが個人的に依頼を受けたもので、お子様用リングもセットになっています。とっても沢山の幸せを描いた物語に、写真の撮影で少しだけ参加させて頂きました。
何時ものように様々なテクニックを総動員しております。
この写真を元にして、サンドブラストを使ったパブミラーを制作しています。次回はその結果もお見せできると思います。
風景や人物や料理などは、再現する色彩に多くの人が美しいと感じる色彩を求めますが、絵画やイラスト、商品、アパレル等ではオリジナルの色なので、「こうあるべき」がありません。人がその物を見たときの色や明るさを再現することが、撮影の目標になります。
プロテックでは美しい事と正しいことを切り分けて、感覚ではない数値によるコントロールをしています。
この回では明るさの決め方と撮影時のホワイトバランス(以後WB)について、アート作品の複写を題材に紹介します。
<題材の作品は芸術家 高原洋一氏の作品です。了解を頂き掲載しています>
明るさの決定は勘ではなく、このようなチャートを使って行います。
真ん中のグレーがRGB値で全てほぼ118となるように露出を調整して撮影します。
何故256階調の中間である128ではないのかとの疑問もあると思いますが、sRGBやAdobeRGBでは、ガンマ2.2なので118が正しいと思って下さい。「何枚か段階露光して後から選べばいいや」では、本来の作品が持つ明るさが損なわれるかもしれません。
グレーチャートを基準に明るさとWB調整を行った結果です。
無意味に段階露光を行って使えないデータを増やすよりも正しい撮影を行うことが重要と考えます。
大型ストロボを持ち込んで撮影していても、部屋の状況によって意外なほど大きく変化しています。ストロボの設置が少し変わったら、チャートを入れて撮影しておくように心がけています。
次に色彩について考えます
上の写真はCANON R5の標準的な色設定である「スタンダード」を使っていますが、色彩の印象が違っています。
Canon 独自の色調整機能である「ピクチャースタイルエディター」を使って、好き嫌いではなく最も現物の色彩に近い「オリジナルピクチャースタイル」を制作し適用させた結果です。
青の色彩がハッキリ異なっています。
極論をいえばカメラの色彩は「正しく色彩を記録」するようには作られていません。人が期待したような色彩で再現できることを良い色のカメラとしているため、仕方ないと思います。反面、正しい色彩を必要とする撮影では害しかありません。
豪雨の梅雨が心配される今日この頃ですが皆様にはお変わりないでしょうか。
線状降水帯という聞きたくない言葉がTVにあふれていますが、西日本豪雨のようにならない事を祈るばかりです。
私個人としては、コロナワクチン2度目の接種を完了し、少しだけ心が軽くなった印象です。
今更ですが写真がもっと旨くなりたい想いが、ここ数年徐々に強くなっています。
そこで先輩諸氏に習い単焦点レンズ、しかも標準レンズを多用したり、非常に背景がよくボケる大口径レンズを試してきました。映像が新鮮に感じられ楽しんでいましたが、ある日パソコンで写真をチェックしていると、「変わり映えしないな」「全然わくわくしていないな」という印象を、さっき撮ってきた写真に感じました。
では、便利ズームではどうだ! と今度はズーム1本で1日過ごしてみると、今までよく理解していなかった、私自身がカメラを向けるきっかけを知ることが出来ました。
最近は時々カメラを持って山歩きをしていますが、その時その時感じる事物全般に画角や距離感や色彩ではなく、スッと惹かれたときに脈絡なくカメラを向けているようです。そんな行き当たりばったりの私が、単焦点レンズという決められた画角に縛られていたのかもしれません。結果的に心引かれる被写体に反応できない事がストレスになっていたようです。
一番大事にすべきことは自分の心のザワつきを見逃さないことと、今更ながら再確認出来ました。暫くは便利ズームと単焦点1本の2段構えで、修行を続けたいと思っています。
掲載した写真は、CANONのピクチャースタイルエディターという仕組みをベースにした、「梅雨色」という表現を具体化したく、小雨の中撮影してきた「美咲花山園」での写真です。
ピクチャースタイルのFBも良かったら覗いてみて下さい。
https://www.facebook.com/psefan
今更ですが、カラーマネージメントやってますか?
モニターはキャリブレーションが必要だということを、ご理解されている人が増えてきましたが、部屋の明かりはどうしたらよいか正しい答えを持ち合わせている人は少ないようです。
今回は照明器具の紹介なのですがその前に、何故室内照明が重要か簡単に説明させて下さい。
室内照明に最も大きな影響を受けるのは我々人間の目です。肉眼は高精度なオートホワイトバランス機能を備えていて、環境光の色を補正してニュートラルに見ようとします。本来緑が強い一般蛍光灯の下でも、白い物は白く見えます。モニターの白は環境光の白と合致している必要があり、結果としてプリントや印刷とモニターの色が同じように見えます。
ここからは詳細な説明を省いて独断に近いのですが、モニターをD50(約5000ケルビン)の規格に調整し、環境光をそれにあわせる事が入手出来る光源等を考えれば最も適切です。
最もまずいのは、環境光はそのままでモニターのボタンでちょこちょこ調整し、「良い感じ」にしてしまうことです。
演色性に優れた光源を選ぶ
高演色蛍光灯の定番。色評価用、美術館用など数種が売られています。
光源を選ぶとき演色指数(Ra)という言葉を目にすると思いますが、この数値は指数なので最大が100です。高いほど基本となる太陽光で観察した時と、色彩毎の明るさや鮮やかさが同じように感じられます。一般的な蛍光灯やLEDでは70〜80で省エネのものほど演色指数は低い傾向です。ではモニター観察の環境光としての目安は最低でも90以上必要です。古くから多くの美術館や印刷所での色調整に使われてきた蛍光灯はRa=99を誇っています。
他にも直管式で入れ替え可能な「エコリカ」というLEDがあります。
使ってみてはいないのですが、室内照明で天井に付けるとなると最低でも2本、今の事務所では8本必要となり、弊社では現実的ではありません。
今回紹介する本命は「アイリスオーヤマ高演色LED電球」です。
何かと楽しい製品を世に送り出しているアイリスオーヤマのLED電球です。
価格も1350円ほどで、パッケージにはRa=97と書かれています。
ニンマリしたくなるような価格と性能ですが、実際はどうか非常に気になります。
他にもパナソニック等で高演色を謳うRa=90のLed電球はあるのですが、97という数値に負けて購入しました。表示されたRaの数値はかなりばらつきがあり、97という数値をそのまま鵜呑みにすることは危険です。デジタルカメラで確認したところ、やや緑成分が残っていて、色温度は5000Kを少し下回る印象です。個体差もあるので厳密には言及できません。
デスクのキーボードから約1mの距離で100cdに調整したモニターに適合する明るさになりました。
アイリスオーヤマのLed電球は60W型の消費電力が10.4Wですが、パナソニックのプレミアXというRa90の製品は60W型で7.3Wとなっています。演色性の良い製品は非効率という通説になぞれば、合点がゆく結果です。
弊社の普段パソコンで処理をしている部屋は、Ra99の色評価蛍光灯を使用しています。その環境で他社製高演色Led電球と比べてみました。
3者ともに大きな差は無いように見えますが、他社製高演色Led電球はチャートがやや青緑っぽく見え、赤〜オレンジが鮮やかで、青も前後も鮮やか過ぎです。「高演色」を謳う製品もRaが80の製品もあり、表示Raが正確かどうかも確証はありません。
使ってみるしかないのが現状です。
ではもしも環境光に無頓着だったり間違った使い方をしたらどのくらい問題があるか、見た目をシミュレーションしました。
フィルムやプリントという物体を持たないデジタルフォトでは、如何に正しくデータの色彩を観察するかが重要なので、今回紹介したLed電球のように、信頼出来る光源が安価に入手出来るようになったことは大いに歓迎します。
写真機材の進化を見続けてきて
私が写真を生業とした頃は、まだまだポジフィルム撮影の全盛期で、ここ一番の撮影は4X5インチフィルムで撮影する事が当然の時代でした。ISO感度はせいぜい400までで、商品写真でも数秒の露出時間は当たり前の時代です。その後デジタルカメラが出現し、近いうち簡単にフィルムに取って代わるだろうが、精密な写真のためには大型フィルムは残り続けると感じていました。しかし10年たってみればフィルムの存在は影が薄く多くの仕事はデジタルカメラに置き換わってゆきました。しかし、高感度での撮影は苦手でISO1600にでもすれば、ノイズだらけの惨憺たる結果であったことを記憶しています。さらにカメラは進化を続け、Nikon D1等初期のデジタル一眼レフから20年を越えるころには、フィルムは市場から姿を消し、画素数は5000万画素をゆうに超え、ISO感度は実用上で10,000以上となり一応の進化を遂げた印象です。AFは顔認識、瞳認識を人だけでなく動物にまで広げています。
このようにカメラの技術が一定の目標を達成したのが2020年ではないかと感じています。スペック上は実用上十分以上の性能を持つようになったカメラが、今後目指すべき方向はどこのあるのでしょうか。交換レンズはどんどん高性能で高額になり、欠点の無い数値上は見事な撮影機材が、お金だけ出せば入手出来る時代となりました。
相反するように写真を生業とする私たちにとって、撮影する行為自体に「わくわく感」「高揚感」「達成感」などが薄れてゆきます。原因は「こんな写真が撮りたい」「仕上がりはこんな風にしたい」等の、撮影前ビジョンが無くても、一定の仕上がりが得られたかのような錯覚に陥る事ではないでしょうか。
誰でも押せば撮れてしまう機材と、Aiで勝手に仕上げてくれる画像加工アプリの台頭で、ネット上は一見それらしい写真であふれています。40年写真撮影を仕事にしてきて、ふつふつと原因不明の居心地の悪さを感じ、今更ながら「さらなる精進」が必要と強く感じています。
また、改めてモノクロ写真の雄弁さを感じます。削ぎ落とした先に見えるものは、作者の抱いた感情でありたいと強く感じます。まずは自分の心の襞に注意して写真に向かいたいものです。
—–続く
デジタルカメラの進化は、より緻密な写真を撮りたいという欲求と、他人とは違う一歩進んだ事をしたいという欲求によってどんどん高画素化してきました。今では無理すれば買えそうな一億画素カメラも存在していますが、AdobeCCのCameraRAWという仕組みで「スーパー解像度」という機能が追加されました。
今までも画素だけ増やす「なんちゃって」が出ては消えていますから、半信半疑でEOS R5(4476万画素)のデータで純正の現像アプリである「Digital Photo Professional 4」と対決です。比較画像をご覧下さい。
左は写真の全体像です。
レンズはRF85mmF2.0ですが、絞り開放ですので、色収差もピントが合っていない部分には見られます。
ピントの合っている右の木の下ほどを拡大しています。
部分アップはB1サイズ以上で観察したときの印象と同程度と感じられます。
Digital Photo Professional 4ではシャープネスの調整やノイズリダクションの調整を行い、頑張って緻密で繊細な描写を心がけたつもりです。しかしスーパー解像度は素晴らしい描写でした。細部描写のための強調も感じず滑らかな木肌の質感手触りが感じられます。全く別のカメラといっても良い細部繊細の立体感は見事です。
R5の4476万画素は決して少ない数字ではありませんが、もしも、もしも、もっと緻密な仕上がりが必要な場合は「スーパー解像度」で対応できそうで安心しました。
同時に色彩の自由度が飛び抜けて高いCanonの仕組みがメインである事は変わりませんが、超大型出力等対応できる安心感は素晴らしいと思います。適材適所で使い分ける事が正しい評価の仕方と思います。
ただし良いレンズが必須なので、其方にお金が必要となりますが。