デジカメでハイライト合わせ露光は嘘!!!

デジタルカメラのRAWデータにおいて、シャドウ再現は素晴らしく進化したのですが、昔から言われるようにハイライト再現は弱いままでしょうか。2点の作例で確認してみます。

FUJI X-T2 VIVID 撮影時jpegデータ
ハイライトもシャドウも明らかに白飛び黒潰れを起こしています
強い日差しの下で当然のように思われます
CameraRAWを使って露出をアンダーに、ハイライトを暗く、シャドウを明るく補正した結果です
ほぼ白飛びは無くシャドウも十分再現できています

極端な補正の結果ですが、補正による破綻は見られません
初期のデジタルカメラでは、飛んだように見えるハイライトは、僅かに復元できたとしても細部の記録や色彩を蘇らせる事は無理でした。
今回のテストでは炎天下の明暗も実用上なんとかなりそうです。しかし、jpegで見てハイライト合わせの露光とした場合は、約2段ほどアンダーでしょう。その時は如何にRAWデータでも、望むようなシャドウ再現は無理だと思います。

もう一つの作例は、露出を2段間違ってしまった写真が、同じように表現できるかのチェックです。

FUJI X-T3 左は2段分明るく撮影してしまった結果です。明らかな失敗露光です
撮影時には右の露出で撮影し、RAW現像の時に補正して仕上げようと考えていました
アンダー露光の画像の明るさ等調整後に、2段オーバーの画像を近づけようと補正した結果です
階調再現に大きな差は無く、太陽光が透けた花びらの白さが少し違う程度です

意図通りに露出を決めて撮影することが本意ではありますが、失敗露光によってRAWデータのハイライト側にも。大きなマージンが存在する事を証明する結果となりました。

主観的ですがハイライトとシャドウのマージンの大きさは、倍以上シャドウが大きいと感じます。撮影する人によって「アンダー癖」の人も多く、さも当然のようにRAW現像で1段2段と補正し、暗部に余計なノイズを発生させ、ノイズリダクションで細部情報を無くしています。

また、「jpeg撮ったまま」を崇めるように信奉する人も居ますが、私には理解出来ません。私は完全なRAW現像派で、できる限り意図を最大限表現できる仕上がりを求めます。

シャドウとハイライトの再現能力を熟知する前と後では、撮影時の露出決定が大きく変わるはずです。是非お使いのカメラの能力を見極めて、自分の適性露出を作り出してほしいと希望します。
極端な言い方になりますが、フィルム時代は強固な仕組みがご主人様で、デジタルでは融通の利く仕組みを使いこなす、撮影者がご主人様となりました。この大きな変化を楽しみましょう。

デジタルカメラのシャドウ再現は進化した?

あくまで明確な根拠が有るわけではないですが、一昔前よりデジタルカメラのダイナミックレンジは大きく進化したと感じられます。
ダイナミックレンジはフィルムには及ばないとして、HDRが進化してきたのですが、AdobeCameraRAWでもごく自然にシャドウ再現が可能になっています。HDRツールで無理に加工を加えるより、自然な仕上がりが得られるケースを紹介します。

FUJI X-T2 XF14mm RAW撮影
ほぼシャドー部は真っ黒です
AuroraHDRにてRAWデータを処理
シャドウ部は綺麗に再現できています
しかし、どう調整しても不自然さが目に付きやすいのもHDRの宿命でしょう
それが味として表現に使える場合もあれば、邪魔になる場合もありますね
AdobeCameraRAWでシャドウコントロールを最大にして現像した結果
階調も色彩も非常にナチュラルで、補正前の画像がうそのようです

デジタルカメラはポジフィルムと比べて、シャドウ再現に優れているので、少々アンダーに撮影しておいて、現像時に調整すれば良いと初期から言われていましたが、紹介した画像とは全くレベルの異なる品質でした。

私は新たなステージに移行していると感じています。カメラもアプリも共に進化した結果だと思います。HDR処理ではその仕組み上、階調の連続性は必ず途切れますが、RAW現像時の調整ではこうした心配も少ないようです。より自然な仕上がりに感じられますね。